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2006年6月に金融商品取引法が成立し、上場会社においては2008年4月1日から開始する事業年度から連結グループとして内部統制を整備・運用する必要が生じた。それから2年以上が経過し、中国における子会社の内部統制構築実務についても事例がある程度蓄積された状況となってきている。
内部統制自体の説明は他の専門書籍に譲るとし、本書では中国現地法人の内部統制構築実務について出来るだけ具体例を織り込みながら説明したい。
2.内部統制構築対象となる中国現地法人
中国現地法人でJ-SOXに基づく内部統制構築が必要といっても、上場会社の全ての中国現地法人が対象になるわけではない。その対象について整理したい。
① | 全社統制及び決算・財務報告プロセス統制の構築対象 |
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全社統制及び決算・財務報告プロセス統制の構築については、その基本理念の必要性や構築の容易性から、多くの中国現地法人がその対象となっている。具体的には、連結売上高で全体の95%に入らないような連結子会社は全社的な内部統制の評価範囲としないことができる旨、「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準」(平成23年3月30日付、以下、内部統制実施基準という)に例示されている。 |
② | 業務プロセス統制 |
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業務プロセス統制については、その詳細さ及び構築の困難性から、構築対象となる中国現地法人を絞ることが可能である。具体的には、全社統制の評価が良好であれば、連結売上高で全体の概ね2/3程度に入いる連結子会社を業務プロセス統制構築対象とする旨が内部統制実施基準に例示されている。 |
3.中国現地法人における内部統制ニーズの変化
中国現地法人の内部統制構築は、上述の法令による強制、または内部統制実施基準の構築評価範囲の例示に基づき、「致し方なく」進められるという意識が当初は高かった。J-SOXに基づく内部統制構築は、日本親会社においてもかなりの労力とコスト、従業員からの抵抗を伴っているにもかかわらず、これをさらに中国現地法人まで展開することは、なるべく避けたいという認識が多かったと思われる。実際に、同じ売上高規模の子会社が日本、アメリカ、中国にそれぞれあった場合、内部統制構築対象とする子会社は、日本、アメリカ、中国の順とするよう、監査法人と協議する事例もあったと聞く。その背景としては、日本と中国の文化、言語の違いはもちろん、中国においてJ-SOXに基づく内部統制が監査を通る程度に構築できるのかどうかという不安から、なるべく中国子会社を避けたいという認識があったように思われる。
一方で、最近は逆に中国現地法人に対して積極的に内部統制に基づく管理を導入する傾向も出てきている。確かに日本人にとって中国人は理解しがたい面があるが、それを避けるのではなく、積極的に規程の文書化、ルールの周知、その運用評価を行うことによって、いままで不可解であった中国現地法人を理解し統括する手段として、内部統制を構築するのである。